治療方針

治療の流れについて

  • 問診

    現在に至るまでの症状を確認し、今後の治療に対してのご希望などをお伺いします。

  • 評価と治療計画の立案

    身体機能(関節の可動性、筋力、日常生活への影響など)の評価をして、治療方針を判断します。

  • 治療

    【鍼治療】
    1.当院ではトリガーポイントを刺激する鍼を行っています。
     トリガーポイントとは発痛点とも言われ、体表上で圧迫やほかの刺激により痛みを誘発する痛みやコリが最も強く表れている部位になります。マッサージや整体などでは深部にあるトリガーポイントには刺激を与えられませんが、鍼であれば直接アプローチが加えられる特徴があります。

    2.刺激の柔らかい鍼先が丸い鍼を使用します。
     鍼を刺入するとき時に皮膚の痛覚受容器に鍼先が触れて痛みを発することがあります。この刺入時の痛みは、受けている側に緊張を生じさせ、痛みに対する感受性を増し、鍼に対する恐怖心を高めます。それを取り除くため、当院では鍼尖が丸く、繊細な部位にも優しい鍼を選択して使用しています。

    3.鍼電極低周波治療器
     この度、当院では治療種目に鍼電極低周波治療器を導入致しました。
    一般に低周波治療器と言うのは、テレビショッピングなどで紹介しているような表面電極を皮膚に当て、電気を通電して刺激を行うものであります。しかし、電極を皮膚から当てることは簡単であり誰にでもできるという以外は、治療をする上では皮膚抵抗、痛み感覚などデメリットが数多くあります。
     鍼灸治療院では電極を鍼にすることで、以下に示すメリットがあり、臨床に広く応用されています。
    電気刺激のメリットと共に適応になる疾患も挙げてみます。
    【メリット】
    ①鍼本来の刺激効果と電気刺激による相乗効果が得られます。
    ②鍼を体内に刺入するので皮膚抵抗に影響されず、少ない電流量で筋肉を刺激することができます。
    皮膚抵抗とは、人体内部の抵抗と電極が皮膚に触れている接触抵抗を合わせたものです。人体の内部抵抗は体内組織、血液量などによって違いますが500Ω程度。電極と皮膚の接触抵抗は、乾燥状態で2000~5000Ω、汗ばんでいる皮膚で800Ω程度、水で濡れていると0~300Ωです。
    ③鍼の刺入到達部を筋肉内部ではなく筋膜にすることで、古典的な強い鍼刺激ではなくても筋肉に十分な刺激を与えることができます。
    ④必要な時は、深層部にある筋だけを電気刺激することも可能になります。
    ⑤徒手によるマッサージに比べ、鍼電極による電気刺激は一定のリズムと強度を与え続けることができるので、安定した効果が得られます。
    ⑥電気刺激により筋の収縮と弛緩を繰り返しますので、筋のポンプ作用が起こり、血行が改善し、老廃物を排出して、新陳代謝を高めます。
    ⑦時として強いマッサージは、筋肉を構成する筋繊維の毛細血管の損傷を生じ内出血することもあります。しかし鍼電極を用いた電気刺激では、強い直接的な刺激をしないので筋肉に損傷は与えることはありません。しかも電気刺激による筋の収縮―弛緩でマッサージ効果を得ることはできます。
    【適応症】
    ①筋肉性疾患:緊張性頭痛、肩こり、頚腕症候群、背部痛、腰痛症、脳卒中後の痙性麻痺
    ②神経性疾患:坐骨神経痛、各種神経痛、斜頸、書痙、神経麻痺、脳卒中後遺症、自律神経バランス障害
    ③関節、椎間関節性:五十肩、各変形性関節症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、椎間関節性疼痛

     

    【関節運動学的手技療法】
     関節とは骨と骨が蝶つがいのように接合されているのではなく、関節面という部分が接して構成されています。見た目は曲げたり伸ばししたり、開閉したりと単純そうな動きでも、関節面では滑ったり、転がったり、回旋したりと複雑に動いています。しかも骨同士は完璧に密着しているのではなく、「関節の遊びjoint play」と言われる僅かな隙間を作っています。
     関節が機能障害を起こすと「関節の遊び」がなくなり、関節面での微妙で複雑な動きがなくなります。それを無理して動かせば、正常な関節面の運動からかけ離れていき、痛みを伴い悪化します。この悪化への方向は、治療者側が起こしていることもあります。しっかりとした関節の構造と運動(関節運動学)を理解して治療をしないと、いつまでも治療に通っても効果は上がらず、痛みが続くだけです。ましてや乱暴な施術をされると悲しい結果も予想されます。
     私は、この関節運動学的手技を38年前から今日に至るまで治療の根幹として臨床で行ってまいりました。きっかけは、この治療技術の理論と手技をリハビリテーション医学に普及させておられた博田節夫先生のグループの中林健一先生から直接、1年間にわたり細かくご教授願う期会を得たからです。
     博田先生らはこの技術による仙腸関節の治療で著効を示されてますが、私は鍼やクリニカルマッサージなども加えて実施いたします。しかし手足の各関節の治療では、この技術を用いて患者のみならず、私自身も驚いたほどの劇的な効果を示した例も多くあります。

    【マッサージ】
     当院で行うマッサージはエステやリラクセーションで行うようなマッサージではなく、クリニカルマッサージと言う分野になります。当院では関節運動に影響を与えている筋肉、軟部組織に対して緊張を緩め、解剖学的連鎖anatomy trainに従った筋膜リリースを目的にマッサージを行います。

    【運動療法・温熱療法】
    ①拘縮予防、筋肉の引き延ばしを行う関節可動域運動。
    ②筋力を維持、向上させるための筋力増強訓練。
    ③治療体操療法指導
         --- 頚頸腕、胸郭出口症候群、五十肩、腰痛、膝関節の各体操。
    ④疼痛緩和、リラクセーションのための温熱療法。

対象疾患

■五十肩、加齢による肩関節周囲の痛みで日常生活に支障のある方

 五十肩とは肩関節周囲炎と言われ、肩甲上腕関節(いわゆる肩関節)、特に上腕骨頭を支える小さな筋肉が炎症を起こし、痛みを発して肩関節の動きを障害します。放置しても自然治癒しますが、早期に治療を開始した方が治療効果も高まります。

 当院で行っている関節運動学的な手技は、複雑な肩甲上腕関節の運動に沿った方法で痛みを考慮しながら正しい関節運動を獲得させる方法です。

肩、肘、手、膝、足の各関節の痛みと機能障害のある方

 これらの関節は、仕事での使い過ぎやスポーツ、趣味、加齢により機能不全を生じてきます。この関節機能不全と痛みにより仕事、生活に支障を生じておられる方は、関節運動学的な手技で関節機能の改善を図ります。

 肘関節と膝関節は、いずれも関節構造としては3つの関節が合わさって肘として、膝として関節運動をします。ゆえに、それらの1つの関節機能が障害しても運動に影響を及ぼします。治療者は関節の構造を理解し、関わる3つの関節の障害の程度を評価し、治療に当たらねば改善は望めません。

 手関節と足関節は他の関節と違い、各々7~8個の小さな骨を関節構造の中に含んでいます。これらの小さな骨同士も一つの関節として機能し、そして障害も起こしてきます。特殊な関節構造をよく理解した上、関節運動学的手技で治療すると劇的な改善を示しますのでお困りの方は是非一度お越し下さい。

■股関節や膝関節の変形性関節症で術前・術後の方

 近年、変形性の股関節症や膝関節症に対しては積極的に人工関節の置換術が行われます。しかし、術後のリハビリテーションは期間が設定され早期に退院を勧められす。手術をされた病院が遠隔地で通院が困難であるならば、その後の関節の運動療法を継続して当院で実施します。

■骨折の後遺症としての痛み、しびれ、関節運動制限のある方

 長きに渡るリハビリテーション治療の中で、最も多く経験してきたのが骨折の術後治療です。関節運動学的な手技を基本にして治療してきましたが、当院では更に鍼治療を加えて、筋肉の緊張緩和と除痛を促し、関節運動の向上に対応していきます。

■仙腸関節機能障害の方

 治療しているのに継続する腰の痛みは仙腸関節機能障害によるかもしれません。関節運動学的な手技も行いますが、仙腸関節ブロックの理論を基に鍼治療を試みます。

筋膜原性腰痛、姿勢性腰痛の方

不良姿勢での作業、重労働、経産、スポーツなどによる筋膜原性腰痛、骨盤姿勢異常で腰痛に悩んでいる方

眼精疲労、偏頭痛、肩こりのある方

職場でのOA作業、受験勉強、ゲームなどによる眼精疲労、偏頭痛、肩こりのある方

慢性関節リウマチの方

慢性関節リウマチによる変形から生じる各関節の運動制限、痛みのある方

■脳卒中後遺症、その他神経筋疾患のある方

 脳梗塞や脳出血などの脳血管障害を発症し、急性期、亜急性期、回復期とリハビリテーションは継続されますが、厚生労働省の方針で6か月をもって介護保険に移行されます。老人福祉施設やディケアでもリハビリテーションは行われますが回数は減ります。後遺症として運動麻痺、感覚麻痺などがあると関節に拘縮が生じたり、麻痺肢の異和感が継続し、日常生活に支障を来すことになります。関節の拘縮予防や麻痺肢の異和感軽減を必要とされる方は、運動療法や鍼治療、温熱療法などで対応していきます。

和歌山県の橋本市にある鍼灸治療院、治療院で鍼、マッサージ、指圧、整体、リハビリテーションなどで腰痛、膝痛、関節痛、頭痛、疲労に対応します。